AIの自社説明と組織の情報: 自社で直せる場所と直せない場所を前にした GOAT君 のアイキャッチ(出典: Google)
直せる場所と直せない場所

Google のナレッジパネル ヘルプは、ナレッジパネルに「同じ名前の別組織、または名前が似ている別組織のコンテンツが含まれている」状態を、Google に問い合わせる問題の 1 つに挙げています。AI の回答が自社を別会社と取り違えたときに直す場所は、自社サイトに置く組織の構造化データ、Google 検索のナレッジパネル、Googleビジネスプロフィール(GBP)に分かれます。

このうち自社で書き換えられるのは、サイトの表示テキストと構造化データ、GBP の情報です。ナレッジパネルは Google が自動で作るもので、事業者ができるのは認証を受けて修正を提案するところまでです。

AIの説明と構造化データについてGoogleが公式に書いていること

Google 検索セントラルの「AI 機能とウェブサイト」は、AI による概要や AI モードに表示されるために「特別な schema.org の構造化データを追加する必要もありません」と書いています。同じページの SEO のベスト プラクティスには、構造化データをページに表示されるテキストと一致させることと、ビジネス プロフィールの情報を最新に保つことが並んでいます。

生成 AI 向けの最適化ガイドも「生成 AI 検索に構造化データは必要ありません」と明記しています。そのうえで、リッチリザルトの対象になるのに役立つので、SEO 戦略全体の一部として構造化データを使い続けるよう勧めています。

公式の記述から読めるのは、構造化データが AI による概要に載るための条件ではないということです。役割は、Google が自社という組織を見分けるための材料の側にあります。

ChatGPTなど他社のAIは、公式の記述が見当たらない

ChatGPT など Google 以外の AI が組織の構造化データをどう使うかについて、運営各社の公式の説明は、この記事で読んだ範囲(Google の 6 ページと Ahrefs の調査)にはありません。

Ahrefs の記事は searchVIU の実験を紹介し、ChatGPT・Claude・Perplexity・Gemini・Google の AI モードの 5 つが、ページをその場で取得するときに表示される HTML だけを取り出し、JSON-LD を無視したと伝えています。元の実験の記録は、この記事では確かめていません。

構造化データを足したページのAI引用はほとんど動かなかった

Ahrefs の追跡調査(2026 年 5 月公表)は、2025 年 8 月から 2026 年 3 月に JSON-LD を足した 1,885 ページを 4,000 の対照ページと比べ、3 つの AI での引用の変化を測りました。

AI 引用の変化(対照との差) Ahrefs の判定
Google の AI による概要 −4.6% 小さいが統計的に有意な減少
Google の AI モード +2.4% ゼロと区別できない
ChatGPT +2.2% ゼロと区別できない

AI による概要の減少について Ahrefs は、構造化データが小さな悪影響を与えた可能性と、ほかの要因による可能性の両方を挙げています。

Ahrefs 自身が結果の範囲を限っています。対象は、構造化データを足す前の 2025 年 2 月にすでに AI による概要へ 100 件以上引用されていたページだけです。Article・FAQ・Organization などのスキーマの種類はまとめて扱われ、測った期間は追加後の 30 日でした。まだ AI に引用されていないページについては、この調査では答えられないと書いています。

一方で Ahrefs は、リッチリザルトやナレッジグラフ、エンティティの認識など、JSON-LD を使う理由はほかにも多いと結んでいます。自社のページで同じ比較を小さく試す手順も示していますが、この記事では扱いません。

組織の構造化データで書けるのは「自社がどの組織か」

Google 検索セントラルの「組織のスキーマ マークアップ」は、ホームページに組織の構造化データを追加すると、Google が「組織の管理情報の詳細を把握して、検索結果で組織を明確化できるようになります」と説明しています。必須プロパティは無く、組織に関係するプロパティをできるだけ多く足すよう勧めています。

置き場所はホームページか、企業情報ページのように組織を説明する 1 ページで足ります。サイトのすべてのページに入れる必要はありません。レストランや実店舗のサイトなら、LocalBusiness のサブタイプから最も当てはまるものを使い、ローカル ビジネスの必須フィールドと推奨フィールドも書くよう勧めています。

別会社との取り違えに関わるプロパティ

Google が認識するプロパティのうち、「どの組織か」を示すものを抜き出しました。条件の欄は、同じページのプロパティの定義に書かれている注意です。

プロパティ 書く内容 公式の条件
name / alternateName 店名・社名と通称 サイト名に使っているのと同じ値を使う
legalName 登記された正式名称 name と異なる名称がある場合に書く
url 自社サイトの URL Google が組織を一意に識別するのに役立つ
logo ロゴ画像の URL 112x112 ピクセル以上・Google 画像検索が対応する形式で、クロールとインデックス登録に対応できる URL
address 住所 拠点が複数の都道府県や市区町村にあれば複数指定できる
telephone 問い合わせの電話番号 国コードと市外局番を必ず含める
sameAs SNS やクチコミサイトのプロフィールの URL 複数指定できる

sameAs の例として、公式はソーシャル メディアやレビューサイトにある組織のプロフィール ページを挙げています。同じ名前の会社がある場合、自社の公式サイトと自社のプロフィールを指す URL を並べることが、Google に「どれが自社か」を伝える材料になります。

店舗サイトに置くJSON-LDの例

公式の例を、実店舗のサイトに置く形へ書き換えた雛形です。@type は実際には LocalBusiness のサブタイプのうち最も当てはまるものに置き換え、値は GBP とサイトの表示テキストに合わせて埋めます。

<script type="application/ld+json">
{
  "@context": "https://schema.org",
  "@type": "LocalBusiness",
  "name": "(サイト名と同じ店名)",
  "alternateName": "(通称があれば)",
  "legalName": "(登記された正式名称が店名と違えば)",
  "url": "https://www.example.com",
  "logo": "https://www.example.com/images/logo.png",
  "telephone": "+81-(市外局番から)",
  "address": {
    "@type": "PostalAddress",
    "streetAddress": "(番地)",
    "addressLocality": "(市区町村)",
    "addressRegion": "(都道府県)",
    "postalCode": "(郵便番号)",
    "addressCountry": "JP"
  },
  "sameAs": [
    "(公式 SNS のプロフィール URL)",
    "(クチコミサイトの自店ページの URL)"
  ]
}
</script>

公開したあとに確かめること

公式の追加手順は、検証と公開後の確認を次の順で求めています。

  1. リッチリザルト テストでコードを検証し、重大なエラーを直す
  2. URL 検査ツールで、Google からページがどう見えるかを確かめる。robots.txt・noindex・ログインの要求でブロックされていないことも見る
  3. Google がページを見つけてクロールするまで数日かかることがあるので、反映を急がない

ガイドラインに違反すると、Google はサイトに手動による対策を取ることがあります。手動による対策を受けたページでは、ページ上の構造化データが考慮されなくなります(ページ自体は検索結果に表示され続けます)。

ナレッジパネルはGoogleが自動で作り、直接は書き換えられない

ナレッジパネル ヘルプは「ナレッジパネルは自動的に生成されます」と書いています。表示される情報はウェブ上のさまざまな情報が元で、ウェブ上の情報が変わると自動的に更新されます。そのうえで Google は、対象者による直接の変更と、一般ユーザーからのフィードバックによる変更も考慮しています。

検索結果の信頼性を保つため、現在のポリシーではナレッジパネルを手動で作成したり削除したりできません。パネルを出すかどうかは、検索語句との関連性をもとに Google の自動システムが決めます。

店舗の住所や営業時間を出す面は別にあります。ヘルプによると、ビジネス プロフィールは特定の場所または指定されたサービスエリアでサービスを提供するビジネスに固有のものです。店舗の情報は GBP 側で直します(GBP の基本はMEO対策の基本で扱っています)。生成 AI 向けの最適化ガイドも、状況によって生成 AI の回答にローカル ビジネスの情報が含まれる場合があるとし、Google ビジネス プロフィールなどを使うと AI の回答と検索結果の両方でサービスが表示されやすくなると書いています。

ナレッジパネルの認証を受ける手順

ナレッジパネルの対象者か正式な代表者であれば、認証を受けて変更を提案できます。

  1. Google アカウントが無ければ作成する
  2. Google 検索で自社を検索し、ナレッジパネルを表示する
  3. 下部の[ナレッジパネルの認証を受ける]をクリックする
  4. 情報を確認する
  5. 公式サイトかプロフィールのいずれかにログインする(YouTube・Search Console・Twitter・Facebook)

ヘルプは「現時点では、すべてのナレッジパネルの認証が受けられるわけではありません」と書いています。ボタンが出ない間は、[フィードバック]から提案を送ります。すでに他のユーザーが管理していると表示され、組織内で管理者が見つからない場合は、ナレッジパネル サポートチーム宛てにアカウント復元を始めます。復元では現在のオーナーか管理者に Google からメールが送られ、3 営業日は返信を待ちます(ナレッジパネル ヘルプ「Google の認証を受ける」)。認証後に利用者を追加する手順や権限の管理、認証後に出る「このアカウントはすでに他のユーザーが管理しています」というエラーの扱いは、この記事では扱いません。Search Console でのログインに失敗する場合は、公式サイトを Search Console に追加し、サイト所有者を足すよう案内されています。

認証を受けたあとに修正を提案する

認証後は、本人確認に使った Google アカウントでログインし、ナレッジパネルの上部にある[情報の修正を提案]から提案します。ログインしたアカウントで、ウェブとアプリのアクティビティがオンになっていることも確かめます。提案が複数あるときは 1 件ずつ送ります。入力欄には次の 3 つを書きます。

  • 既存の情報の問題点
  • 削除すべきコンテンツ
  • 提案内容を裏付ける一般公開の URL

認証を受けた個人からのフィードバックは数日以内に審査されますが、それ以上かかる場合もあります。項目によって直せる範囲が違います。

  • 説明: 編集できません。情報源に修正を頼み、それでも変わらなければ証拠を添えてフィードバックを送ります
  • メイン画像: 画像がすでにある場合だけ、新しい画像の URL で置き換えを提案できます
  • タイトル: 自動で生成され、明確な裏付けがある場合にだけ変更が検討されます

別会社の情報が混ざっているとき

ナレッジパネルの認証ヘルプは、次の状態を Google に問い合わせる問題として挙げています。

  • 同じ名前の別組織、または名前が似ている別組織のコンテンツが含まれている
  • 間違ったウェブサイトやプロフィールが表示されている

Google は、ウェブ上の他の一般公開情報と比べて、フィードバックの正確性を審査します。正確であると確認できない変更は、行われない可能性があります。

AIの自社説明と組織の情報: 自社で直せる場所と Google の判断に委ねられる場所の比較(出典: Google)
自社で直せる場所とGoogleが決める場所
AIの自社説明と組織の情報: 構造化データだけを直して本文との食い違いに気づき、3 か所を同じ値に揃える GOAT君 の 4 コマ(出典: Google)
構造化データだけでは揃わない

誤りの種類ごとに、先に直す場所

ここまでの公式の記述を、誤りの種類ごとに並べ直しました。

誤りの種類 自社で先に直す場所 Google の判断に委ねられる部分
同じ名前の別会社と混同される 構造化データの url と sameAs で公式サイトとプロフィールを示す パネルに別組織の内容が混ざったら Google に問い合わせる
住所や電話番号が古い 表示テキスト・構造化データ・GBP の情報を最新にする パネルはウェブ上の情報が変わると自動で更新される
ロゴが違う 構造化データの logo に 112x112 ピクセル以上のロゴを指定する 画像が無いパネルにリクエストで画像を足すことはできない
説明文が違う 説明の情報源に修正を頼む 説明は編集できず、明確な証拠があれば Google が削除する(独自の説明は作れない)
ChatGPT など他社の AI が誤る 自社サイトの表示テキストを正しくする 各社が構造化データをどう使うかの公式の説明は見当たらない

AI による概要に出た誤りを Google に報告する手順は、AIによる概要の誤情報の報告先で扱っています。

まとめ

AI 機能に表示されるために特別な構造化データは要らない、というのが Google の公式の立場です。組織の構造化データは、Google が自社という組織を見分ける材料として、表示テキストと同じ値で置きます。ナレッジパネルは自動で作られ、事業者にできるのは認証と修正の提案、問い合わせまでです。

自社名で検索し、ナレッジパネルの有無と誤りの出どころを確かめたら、次はサイト・構造化データ・GBP の値を揃える段階です。