同じキーワードなのに、昨日と今日で順位が違う。順位チェッカーや業者のレポートの数字がぶれるのは、計測が壊れているからではありません。Google 自身が、検索する場所によって結果が変わると公式ヘルプに書いているからです。Google 検索 ヘルプは、その「おおよその現在地」の範囲を、3 平方キロメートル以上の広さで、1,000 人以上のユーザーがいると書いています。

この記事では、Google の公式ヘルプと専門家の調査、SoLV(Share of Local Voice)の提唱元 Local Falcon の定義文書を根拠に、順位を「測定値」として扱い、面(グリッド)と傾向(時系列)で読む方法をまとめます。MEO(Map Engine Optimization)の順位を Googleビジネスプロフィール(GBP)で自分で追う人向けです。

順位チェッカーの数字がぶれる理由:検索結果は現在地と時刻で変わる

Google は「今いる場所」に基づいて結果を出す

Google 検索 ヘルプは「Google マップ、Google 検索、Gemini などを使用すると、ユーザーが今いる場所に基づいて、より役立つ結果が表示されます」と書いています。現在地は「位置情報にはさまざまな情報源があり、これらを組み合わせて使用することによりユーザーの現在地を推定します」。

同じヘルプは「検索結果ページの下部に現在地の推定に使われた方法が表示されます」と書いています。数字が食い違ったら、この欄を見ます。

情報源 ヘルプに書かれていること 検索結果ページ下部の表示
デバイスの位置情報 多くのデバイスは正確な現在地を把握できる。google.com では、前回 Google を使用したときのデバイスの位置情報を使用することがある。この位置情報は 6 時間後に期限切れになる Cookie に保存される デバイスに基づく
自宅や職場の住所 自宅や職場にいる可能性が高いときに現在地の推定に使用される ユーザーの場所(自宅)に基づく
過去のアクティビティ 「渋谷のコーヒーショップ」と検索してから「ネイルサロン」と検索した場合、渋谷のネイルサロンが表示されることがある 過去のアクティビティに基づく
IP アドレス 基本的に地理情報に基づいている。おおよその現在地に関する情報を取得する可能性がある インターネット アドレスに基づく

現在地の粒度も一定ではありません。Google 検索 ヘルプは「Google で検索を行う場合、常にユーザーのおおよその現在地が推定されます」とし、その範囲は「3 平方キロメートル以上の広さで、1,000 人以上のユーザーがいる」、さらに「都市部以外では、おおよその現在地の範囲は一般的に 3 平方キロメートルよりも大幅に広くなります」と書いています。一方、位置情報の利用許可を付与した場合、Google は「ユーザーの正確な現在地を使用します」。正確な現在地とは「特定の住所や通りなど、ユーザーが今いる場所」です。

このヘルプは「この記事で説明する設定は更新中のため、現在の画面と一致しない場合があります」と注記しているので、位置情報の利用許可の設定手順は扱いません。

専門家の採点でも「検索地点との距離」と「検索時に営業中か」が上位

Whitespark の Local Search Ranking Factors 2026 年版は、専門家 47 名が 187 の要素を 0〜5 で採点した調査です。ローカルパックへの影響で 1 位は「Primary GBP Category」の 227 点、2 位は「Proximity of Address to the Point of Search」の 225 点、5 位は「Business is Open at Time of Search」の 189 点でした。要素のグループには「Personalization signals」があり、検索履歴・検索地点・端末が挙げられています。

この調査は Google の仕様ではありません。報告書自身が「専門家の誰も Google のローカル検索アルゴリズムの内部に特別なアクセスを持っていない」と断り、上位の要素は「ローカル検索の専門家の観察に基づく」としています。ピンの位置を含む要素の一覧はローカルパックの順位要素の記事にまとめています。

順位チェッカーは Google の内部データを見ていない

Google 検索セントラルの「SEO 業者の利用を検討する」は、「Google はサードパーティ製の SEO ツールを評価または推奨しておらず、これらのツールは Google の内部ランキング データにアクセスできない」と書いています。同じ文書は「Google 検索で「許容される」または「承認される」と主張するツールには注意してください」とも書いています。この文書はサイトの SEO 業者向けに書かれたものですが、ローカル検索の順位チェッカーも Google の外にある第三者のツールという点は同じです。

ある場所・ある時刻の順位は測定値であって評価ではない

順位チェッカーの順位は、どこから・いつ・どの端末で検索したかという条件つきの測定値です。1 地点 1 時点の順位は測定値であって評価ではありません。

MEOの順位計測: ある場所・ある時刻の順位は現在地の推定・検索時刻・端末で変わる測定値で、面(グリッド計測の SoLV)と傾向(同じ設定で繰り返した推移)で読む(出典: Google、Local Falcon、Whitespark)
順位は点ではなく面と傾向で読む

固定する条件

  • キーワード: 地名を含めるかどうかを固定する(Google 検索 ヘルプの例「検索に現在地を追加する(渋谷のコーヒーショップなど)」)
  • 計測地点: 1 地点か、複数地点(グリッド)か。グリッドなら中心・半径・地点数を固定する
  • 計測時刻: 営業時間内か営業時間外か。Whitespark の調査では「検索時に営業中か」が 5 位の要素です
  • 端末: スマートフォンかパソコンか。同じ調査の Personalization signals は端末を挙げています
  • 期間: 同じ設定で繰り返し、1 回の値ではなく推移を見る

グリッド計測とSoLV(Share of Local Voice):面と傾向で読む

SoLV の定義:グリッド上で 3 枠に入った回数の割合

SoLV は Local Falcon LLC の登録商標です。Local Falcon の FAQは、SoLV を「見ているジオグリッド上で、ビジネスが上位 3 枠(ローカルパック、Google の 3-Pack)にどれだけの頻度で入るかを示す」指標と定義します。地図上に格子状に置いた計測地点ごとに検索し、3 枠に入ったかを数えるのがグリッド計測です。

Local Falcon の Knowledge Baseは、SoLV は「常に 100 点満点の数値で、100 は 1 回のスキャンで 3 枠に入りうる最大回数を表す」とし、「auto mechanic」で 23.45 なら「そのスキャンで入りうる回数の 23.45% に入った」ことを意味すると書いています。0 なら「そのスキャンでは 3 枠にまったく入っていない」ので、「より小さい Map Scan Radius と Grid Size で、または別のキーワードで」スキャンし直すことを勧めています。

SoLV は時系列で見ると成果が測れる

同じ Knowledge Base は「SoLV スコアの変化を時系列で追って成果を測る」とし、Trend Reports は「同じ Scan Settings で実行した、ある地点・あるキーワードの全スキャン」を集計すると書いています。変化の原因として挙げているのは「最近行った最適化」と「新しい競合の参入」です。自分の施策のせいか競合が増えたせいかは、同じ設定で繰り返した推移と競合の数字を並べて初めて切り分けられます。

順位や効果を数字で見たくなった段階がツール検討の目安だというのは、自分でやる MEO 対策の記事で書いたとおりです。

競合との差が小さいキーワードに手を打つ

Knowledge Base は「plumber」のような広い一般語は「最も競争が激しい」とし、大手が支配する市場では 3 枠に入ることが「常に可能とは限らない」と書いています。手を打つ先として示すのは、競合の SoLV が「自分より 1〜2 点だけ高い」キーワードです。

指標 定義(Local Falcon Knowledge Base)
Competition SoLV SoLV が 0.00 より高い競合の総数
Max SoLV レポート内で最も高い SoLV(その市場・キーワードで到達しうる上限)
Opportunity SoLV 自分の SoLV と Max SoLV の差

よくある誤解:順位保証と「上がった・下がった」の一喜一憂

Google 検索セントラルは「Google で一番上に掲載されることは誰にも保証できません」と書き、「サイトの掲載順位を保証すると主張する業者、Google との「特別な関係」を強調する業者、Google への「優先登録」を宣伝している業者には注意が必要です」としています。これはサイトの掲載順位についての記述ですが、MEO 対策の費用相場の記事の選び方チェックリストでも「順位保証を謳う業者を避ける」を挙げています。

業者やツールに頼むなら、契約前に次の質問をしておくと、順位の数字の意味を共有できます。

  1. 期待される結果とその時期、成果はどのように測定するのか(Google 検索セントラルの質問項目)
  2. 推奨事項の裏付けとして Google の公式ドキュメントを引用しているか(同)
  3. 解約時に GBP のオーナー権限が自店舗に残るか(費用相場の記事のチェックリスト)

広告と検索順位の関係、業者に聞く質問の全文、スパムに関するポリシーの注意は、同じ Google の文書に書かれています。

順位が毎日ぶれることは、計測の失敗でも施策の失敗でもありません。キーワード・計測地点・時刻・端末を固定した記録をため、SoLV の推移と競合との差から、どのキーワードとどの地点に手を打つかを決める段階です。順位とは別に、GBP のインサイトを月 1 回確認する習慣も続けてください。