営業時間を変えるたびに拠点を 1 件ずつ開いて直していると、拠点の数だけ同じ操作が並び、途中で 1 件飛ばしても誰も気づきません。

Googleビジネスプロフィール(GBP)には、この作業をスプレッドシート 1 枚に畳む経路があります。Google ビジネス プロフィール ヘルプは「ビジネス拠点が 10 以上ある場合は、一括で追加、オーナー確認、管理できます」と書いています。線は拠点数です。

ただし一括更新は「全部まとめて直せる」機能ではありません。変えられない項目があり、順序を間違えると既存の情報が消えます。この記事では、使える条件・権限の分け方・実行順・壊れる 2 つの型を、公式ヘルプが決めている範囲だけで並べます。

一括管理が使える条件と、スプレッドシートでは変えられないもの

一括で扱えるのは10拠点以上

一括の追加・オーナー確認・管理が使えるのは、ヘルプの文面では拠点が 10 以上の場合です。このページを「9」と「未満」で検索した範囲では、9 拠点以下の扱いは書かれていません。

拠点数の線とは別に、もう 1 つ前提があります。同じヘルプは、一括管理を始める手順の先頭に「ビジネスと同じドメインのメールアドレスを使用する場合は、ビジネス用の Google アカウントを作成します」を置き、続けて「メールアドレスがビジネスのドメインと異なる場合は、オーナー確認に時間がかかり、Google にビジネス情報を公開する手続きが遅れることがあります」と書いています。個人の Gmail で始めても止められはしませんが、遅くなる側に入ります。

スプレッドシートでは変えられない3つ

一括更新の限界は、拠点数ではなく「何を変えるか」で決まります。次の 3 つはスプレッドシートの外にあります。

変えたいもの スプレッドシートで 公式ヘルプの記述
店舗コードそのもの できない 「スプレッドシートを使って店舗コードを更新することはできません」(インポートのヘルプ
ホテル属性 できない 「スプレッドシートのアップロードではホテル属性を更新できません。ホテル属性を更新するには、API とダッシュボードを使用してください」(同上)
複数のグループをまたぐ更新 できない 「1 つのスプレッドシートを複数のビジネス拠点グループにインポートしたり、複数のビジネス拠点グループからプロフィール情報をダウンロードして 1 つのスプレッドシートにまとめたりすることはできません」(ビジネス拠点グループのヘルプ

3 つ目が運用に効きます。拠点の置き場所を分けた時点で、スプレッドシートも同じ数だけ分かれます。実際、同じヘルプは「それぞれのビジネス拠点グループには、ビジネス情報を読み込むための専用のスプレッドシートが必要になります」と書いています。グループ構成の決め方を、手順より先に置く理由がここにあります。

この記事が扱わない範囲

一括確認(複数拠点のオーナー確認)の申請手順は、この記事では扱いません。条件・提出物・送信フォームはオーナー確認の記事にまとめてあります。

新しい拠点の追加と、店舗コードの採番も対象外です。緯度・経度の欄は新規追加のときだけ使われ、ヘルプも「既存のビジネスに対してスプレッドシートを後からアップロードする際は、この情報は考慮されません」と書いています。属性の設計も別の話として切り離します。この記事が扱うのは、すでにある拠点の情報をまとめて更新する経路だけです。

ビジネス拠点グループで権限を分ける

グループを1つにするか、複数に割るか

ビジネス拠点グループは、プロフィールを入れる共有フォルダにあたります。ヘルプは「作成するビジネス拠点グループは、ビジネスやブランドごとに 1 つに留めることをおすすめします」としたうえで、複数作る場合の得失を並べています。

構成 向いている体制 得られるもの 失うもの
グループをまとめる 本部が全拠点を一括で見る。担当者が実質 1 チーム 「すべてのプロフィールを 1 つのダッシュボードで確認し、1 つのスプレッドシートで管理できます」 「自分が管理しているグループ内にあるすべてのプロフィールを、他のオーナーと管理者も確認、編集できます」
グループを分ける ブランドや部署が分かれ、担当者も別 「オーナーと管理者が表示、編集できるのは、各グループ内のプロフィールのみです」 「各グループで個別にスプレッドシートの読み込みが必要になり、1 つのダッシュボードですべてのプロフィールを確認できません」

ヘルプは、これから複数の拠点を持つ人にはグループを先に作り、追加・オーナー確認・管理をその中で行うよう勧めています。理由は後出しです。あとでアクセス権を誰かに渡すことになったとき、グループがあれば渡す作業が一度で済むからです。すでに拠点がばらばらのアカウントに載っているなら、対象を選んで [操作] から [ビジネスの移管] でまとめられます。ただし「プロフィールを移管できるのは、自分がオーナーまたは管理者のビジネス拠点グループのみです」。

決め手になるのは、担当者を分けたいかどうかです。分けたいならグループを割り、そのぶん一括更新の手間が枚数分だけ増えます。分けなくていいなら 1 グループで、そのかわり中の全員が全拠点を編集できる状態になります。折衷はありません。

担当者とは別に、業種の側から効く条件もあります。メインカテゴリはグループの中で揃っている必要があるからです。ヘルプは「選択したカテゴリは、すべてのビジネスで同じである必要があります」とし、「小売、配送センター、オフィスなど、異なる種類のビジネスを展開している場合も、このルールは各グループに適用されます」と続けています。店舗と配送センターのように業種の違う拠点を同じグループに入れると、この要件と衝突します。担当者が同じでも、業種が分かれているならグループを分ける側です。

複数拠点のビジネスプロフィールの一括管理: ビジネス拠点グループをまとめる場合と分ける場合で、ダッシュボードの一覧性・スプレッドシートの枚数・編集できる範囲がどう変わるか(出典: Google)
グループをまとめるか、分けるか

グループの権限と、プロフィール単位の権限は別

グループに人を足すときは、範囲が現在だけで終わらない点に注意が要ります。ヘルプは「別のユーザー(同僚や代理店の従業員など)をビジネス拠点グループの管理者またはオーナーとして追加すると、そのユーザーはグループ内の既存のプロフィールと今後追加されるプロフィールすべてにアクセスできるようになります」と書いています。来月開く店も、その人の権限の中に自動で入ります。

ヘルプはこの仕組みの狙いを「各ユーザーが自分の Google アカウントを持っていれば、パスワードを共有することなく、ビジネス プロフィールにアクセスして管理できます」と書いています。担当者ごとにアカウントを分けておけば、退職や異動のときに外すのもアカウント単位で済みます。

プロフィール 1 件ずつの権限は、これとは別の層です。オーナーと管理者のヘルプによれば、管理者は「オーナーとほぼ同じ権限」を持ちますが「ユーザーの追加と削除、プロフィールの削除はできません」。オーナーは複数置けるものの「メインのオーナーとして設定できるのは 1 人のみです」。プロフィール単位の招待・役割変更・削除の操作手順は、この記事の対象外です。

代理店に渡す前に決めること

外部に運用を任せるなら、渡す前に決めておく項目が 2 つあります。

1 つは、権限を渡した直後に全部ができるわけではないことです。ヘルプは「プロフィールのオーナーまたは管理者になった場合、プロフィールの一部の機能は、管理できるようになるまで 7 日ほどお待ちいただく必要があります」とし、この期間中はプロフィールの削除・他のオーナーや管理者の削除・メインのオーナー権限の譲渡がエラーになると書いています。引き継ぎの初週に前任者を外そうとすると、ここで止まります。

もう 1 つは戻し方です。ビジネス拠点グループは「削除すると、元に戻すことはできません」。しかも「グループを削除する前に、グループ内のすべてのビジネスを削除または別のグループに移管する必要があります」。契約が終わるときに困らない置き方を、最初に決めておく話です。

DigitalGOAT編集部の推奨として、業者選定のチェックリストには「解約時に GBP オーナー権限が自店舗に残るか」を入れています。多拠点でグループを使うなら、この確認は「自社のアカウントがグループのオーナーであり続けるか」に読み替えてください。

スプレッドシートで一括更新する手順

先に現在の情報をダウンロードする

ヘルプには白紙から始める経路もあります。[プロフィールを追加] から [プロフィールをインポート] と進み、[テンプレートをダウンロード] を選ぶと未記入のスプレッドシートが手に入ります。ただし既存の拠点を更新するなら、こちらではなく、いま登録されている情報を書き出すところから始めます。ヘルプが既存の情報を変える場合に指示しているのは、アカウントから最新のビジネス情報をダウンロードし、そのファイルに直接手を入れる順序です。狙いは重複を作らないことで、そのために店舗コードとビジネス情報は前回と同じものを使えと続けます。

ダウンロードは、ビジネス プロフィール マネージャーで対象のプロフィールを選び、右上の [操作] から [ダウンロード] セクションの [ビジネス情報] を選びます(一括ダウンロードのヘルプ)。このとき「Google による変更情報や写真を含めるかどうかを選択できます」。[Google による変更を含める] にチェックを入れると、自分が登録した値の隣に Google 側が更新した値の列が並びます。エラーの列は、ダウンロードしたプロフィールにエラーがある場合にだけ現れます。

ダウンロードそのものが止まることもあります。一括アップロードのステータスのヘルプが定義するステータス「ダウンロードが有効になっていない」は「このビジネス情報は、事前処理をしなければ CSV ファイル形式でダウンロードできません」という状態です。ヘルプが挙げる対処は、その拠点を見直して未処理のタスク——オーナー確認や、保留中の Google による変更——を先に片づけることです。先に宿題が残っている拠点だ、と読みます。

つまり最初のダウンロードは、更新の材料であると同時に現状の点検にもなります。エラー列が出たなら、その拠点は今この瞬間も正しく表示されていない可能性があります。

更新したい列だけに絞る

全項目を持ったまま上げる必要はありません。スプレッドシートのヘルプは「スプレッドシートで既存のビジネス情報の特定の項目のみを更新する場合は、不要な列を削除できます。「ビジネスコード」列は常に必須です」と書いています。営業時間だけを変えるなら、残すのは店舗コードの列と曜日の列だけで足ります。

列を絞ると、触るつもりのない欄を事故で書き換える余地が消えます。同じヘルプが挙げる店舗コードの要件は、次のとおりです。

  • ビジネスごとに異なる
  • 半角 64 文字以内で指定されている
  • 前後に余分なスペースがない
  • 特殊文字(「<」や「>」など)や URL が含まれていない

前後のスペースは目で見えないので、絞ったあとに一度だけ確認しておく欄です。

残す列の値の書き方も、欄ごとに決まっています。営業時間は 24 時間形式なら HH:MM-HH:MM、終日休業は X かセルを空白にします。中休みがあるなら「1 日の営業時間が 2 つに分かれている場合」の書き方で、11:30-14:00, 17:00-22:00 のようにカンマでつなぎます。カテゴリ列を触るなら、メインカテゴリと追加カテゴリを分けて考えます。メインカテゴリは拠点ごとに好きな値を入れてよい欄ではなく、上のとおりグループの中で揃っている必要があります。追加カテゴリのほうは「最大 9 つまで追加可能」です。メインカテゴリのように揃えることを求める記述は、このヘルプを「同じ」「すべてのビジネス」で検索した範囲では追加カテゴリ側にありません。ただしヘルプは「事業の内容ではなく、業種を表すカテゴリを選択してください」とも書いています。サービス名や商品名を入れる欄ではありません。複数指定するときはカンマ区切りです。

インポートしてプレビューで件数を見る

アップロードは、ビジネス プロフィール マネージャー右上の [プロフィールを追加] から [ビジネス情報をインポート] を選び、[ファイルを選択] で渡します。「使用可能な形式: xls、xlsx、ods、csv」です。

ここで飛ばしてはいけないのがプレビューです。[変更をプレビュー] を押すと、適用前に何が起きるかが出ます。その中に「アップロードで影響を受けるビジネス情報の数に関する概要」が含まれます。変更の種類は新規・変更・変更なし・エラーの 4 つに分かれます。

見る順番は、まず「新規」の件数です。既存拠点の更新しかしていないのに新規が出ていたら、その時点で止めます。次に「変更」の件数が、自分が書き換えた拠点数と合っているかを見ます。合っていたら [適用] へ進み、合わなければ [キャンセル] でファイルに戻ります。

ただし「変更」が想定より多いときに、必ずしも自分の操作ミスとは限りません。ヘルプは「最後のアップロードからしばらく経っている場合は、このセクションに多数の変更が表示されることがあります」とし、意図しない変更が多数出る場合として「アカウントの情報の形式が、標準的なマップの書式設定ガイドラインに準拠して設定されている場合」と「不適切に削除されたセルによってスプレッドシートの値が変更され、多くのビジネス情報に意図しない変更が行われている場合」の 2 つを挙げています。前者は書式の揃え直しで、後者はこちらの事故です。どちらかは [詳細をダウンロード] で変更の中身を見れば分かります。

複数拠点のビジネスプロフィールの一括管理: 現在の情報をダウンロードし、更新する列だけ残してインポートし、プレビューの件数を確かめてから適用し、ステータスで反映を見るまでの順序(出典: Google)
既存拠点を一括更新する順序

既存の情報が壊れる2つの型

店舗コードのゼロ落ちが「新規」を作る

プレビューで身に覚えのない「新規」が並ぶとき、原因はたいてい店舗コードです。ヘルプは新規の行について「新しいビジネス情報ではない場合、店舗コードが間違っている可能性があります」とし、具体例まで挙げています。「スプレッドシート ソフトウェアで店舗コードからゼロが削除されている(店舗「0004」が「4」になっているなど)場合があります。これにより、意図せずに「新規」のビジネス情報が作成される場合があるため、店舗コードが正しいことを再度確認してください」。

数字だけの店舗コードを使っていて、表計算ソフトが列を数値として読み込むと起きます。ダウンロードしたファイルを開いた瞬間に変わるので、編集した覚えがなくても発生します。既存の拠点で避けられるのは、店舗コードの列を文字列として扱うところまでです。すでに登録してあるコードを英字つきに書き換えて上げてはいけません——スプレッドシートを使って店舗コードを更新することはできないので、書き換えたコードは別の拠点として扱われます。ヘルプが G1、G2、G3GClaremont、GMainStreet、GDowntown のような覚えやすいコードを勧めているのは、これから採番する拠点の話です。

空の列ヘッダーが既存の値を消す

もう 1 つは、追加ではなく削除の方向に効きます。ヘルプは「スプレッドシートに列ヘッダーはあるが、そのヘッダーの下に情報がない場合、その列の既存の情報は削除されます」と書いています。

列を残したまま中身を空にするのは、「この欄は今回変えない」という意思表示に見えます。実際には「この欄を空にする」という指示です。前の節で列を絞る話をしたのは、作業を軽くするためだけではありません。触らない欄は、空で残すのではなく列ごと消す。これが一括更新でいちばん取り返しがつかない操作を避ける方法です。

反映を確認する

ステータス列で止まっている理由を見分ける

アップロードが通っても、すぐ公開されるとは限りません。ビジネス プロフィール マネージャーでビジネスを選ぶと、[ステータス] 列に現在の状態が出ます。一括更新でよく当たるものを抜き出すと次のとおりです。

ステータス 意味(公式ヘルプの定義) 次の一手
保存しています 「ビジネス情報は処理中です」 「数分後に最新のステータスをご確認ください」
審査待ち 「ビジネスは審査待ちです」 「特別な対応は不要です。審査が完了するまでお待ちください」
エラー 「アップロードしたビジネス情報のデータにエラーが含まれています」 データをスプレッドシートに戻し、エラーを修正してからアップロードし直す
店舗コードなし 「このビジネス情報には店舗コードがありません」 手動で店舗コードを追加するか、次回の読み込みの際に追加する
住所の重複 「このビジネス情報の住所はアカウント内の別のビジネス情報で使用されています」 「一意の住所または店舗コードをビジネス情報に割り当てます」
未確認 「ビジネス プロフィールを編集するには、まず Google による確認が必要です」 オーナー確認を行う。「プロフィールの確認が完了する前に行われた編集は、表示されない場合があります」
アクセス権限が必要です 「ビジネス情報に Google で確認された別のオーナーがいます」 オーナー権限をリクエストする

「エラー」で止まった拠点は、データを直すまで動きません。ヘルプが決めている対処は、そのデータをスプレッドシートに戻し、エラーを直してからもう一度アップロードするという往復です。直す場所はダッシュボードではなくスプレッドシートの側で、ここに並ぶのは前の節のダウンロードでエラー列が出ていた拠点と同じものです。

オーナー確認と権限で止まっているとき

「未確認」と「アクセス権限が必要です」は、スプレッドシートを直しても動きません。前者はオーナー確認の話で、編集そのものが確認の後ろに置かれています。後者は、そのプロフィールに別の確認済みオーナーがいる状態です。ヘルプは「確認済みオーナーになれるのは 1 件のビジネス情報につき 1 人だけです」と書いています。

前の運用会社や退職した担当者が確認済みオーナーのまま残っているケースは、オーナー権限のリクエストの記事で扱っています。住所や店名の表記が媒体ごとにずれていて重複判定に引っかかる場合は、NAP の点検手順が先になります。

まとめ

一括更新を使うかどうかは、拠点数ではなく「何の欄を、どれだけの頻度で書き換えるか」で決まります。10 拠点という線を越えていても、変えたいものが店舗コードやホテル属性なら、この経路は答えになりません。

使うと決めたら、順序は固定です。ダウンロードして現状を確認し、変える列だけを残し、プレビューの件数を読んでから適用する。この記事を読み終えた時点で、自社の拠点数・グループ構成・更新頻度に対して、ダッシュボードでの手作業とスプレッドシートの一括更新のどちらが釣り合うかを判断できる材料はそろっています。どちらも重いと感じたなら、外部サービスを検討する段階に入っています。DigitalGOAT編集部は、複数店舗を運営している場合や、管理媒体が 3 つ以上あって更新漏れが出ている場合を、その検討の目安として置いています。