訪日客と飲食店のGoogleマップ: 店のカウンターの GOAT君 の横にスマートフォンの店の情報が浮かび、来店前に伝える準備を示すアイキャッチ(出典: 観光庁)
来店前に伝える店の情報

外国人のお客さんが増えてくると、多言語メニューや翻訳機の話が先に出てきます。その前に、訪日客が飲食店で実際に何に困っているかを数字で確かめると、手を付ける順番を決めやすくなります。

観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境整備に関するアンケート」(令和7年度・4,110件)は、日本から出国する前の訪日外国人旅行者に、旅行中に困ったことを聞いた調査です。報道発表が項目別の結果で困った場所に「飲食店」を挙げているのは、スタッフとのコミュニケーション、多言語表示、クレジット/デビットカードの利用の3つです。

この3つには、Googleビジネスプロフィール(GBP)の店の情報で来店前に伝えられる部分と、伝えられない部分が混ざっています。本記事は調査の数値を母数と一緒に読み、GBPの属性とメニューで先にできる設定を手順まで示します。MEO(Map Engine Optimization)の順位の上げ方は、本記事の対象外です。

観光庁の調査で飲食店が挙がる3つの困りごと

観光庁の調査結果(別紙)によると、調査期間は令和7年11月18日から令和8年1月13日で、成田国際空港、東京国際空港、関西国際空港、福岡空港、新千歳空港の5空港で聞いています。方式は対面式アンケートです。回答は中国、韓国、台湾、香港、米国の5大市場で各400件以上を集めています。20代・30代が回答者の約6割を占めます。

旅行中「困ったことはなかった」と答えた割合は、43.7%でした。困りごとの項目別では、「施設等のスタッフとのコミュニケーション」が15.4%、「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」が10.9%、「クレジット/デビットカードの利用」が10.7%です。

この割合は回答者全体に対する値です。一方で、困った場所の内訳は、その項目で困ったと答えた人を母数にしています。ごみ箱の少なさに困った場所の一覧にも、飲食店は17%で入っています。観光地や地域の混雑でも、飲食店は17%です。報道発表が困った場所として飲食店を挙げていないこの2項目は、本記事の対象外です。

スタッフとの会話は困った人の38%が飲食店

別紙によると、スタッフとのコミュニケーションに困った人は634人です。困った場所は「飲食店」が38%で最も高く、次いで「鉄道駅、バスターミナル」が27%でした。都市部だけを訪れた人でも、地方部だけを訪れた人でも、飲食店が36%で1位です。

困ったときの対応は、自動翻訳システムや翻訳アプリケーション等のICTツールを使ったという回答が68%で最も高くなっています。別紙は、「コミュニケーションを諦めた」人も3割程度いると書いています。

多言語表示は地方部で飲食店が最多

多言語表示の少なさ・わかりにくさに困った人は446人です。困った場所は、全体では「鉄道駅構内」と「飲食店」が24%で並びました。都市部だけを訪れた人では鉄道駅構内が30%で最も高く、地方部だけを訪れた人(93人)では飲食店が23%で最も高い結果です。

困った内容は、「多言語対応されていない/表示言語数が不足している」が67%で最も高くなっています。「記載量が原文と比較して少ない」が24%、「誤訳があった」が20%で、記載の中身に関する困りごとも挙がっています。困ったときの対応は、ICTツールを使って解読したという回答が57%でした。

ここでの都市部・地方部は、旅行者が訪れた地域による区分です。店の所在地で分けた数字ではありません。

カードは困った人の32%が飲食店

クレジット/デビットカードの利用に困った人は440人で、困った場所は「飲食店」が32%で最も高くなっています。困った内容は「カードが使えなかった」が46%で最も高く、「カードが対応してなかった」と「カード使用可能かわからなかった」がそれぞれ23%です。

この項目は、令和7年度に困った割合が10.7%で6位となり、増加しました。別紙の4か年の比較では、令和5年度から困った割合の上昇が続いています。一方で、別紙の「便利だと感じたこと」の集計では、クレジット/デビットカードの利用を含む5項目で、8割以上の旅行者がいずれかの都市で「便利」だと答えています。

困りごと 旅行者全体で困った割合 困った人のうち飲食店で困った割合 困った内容の最多
スタッフとのコミュニケーション 15.4% 38%(634人中) 対応はICTツールの利用が68%
多言語表示の少なさ・わかりにくさ 10.9% 24%(446人中) 多言語対応されていない/表示言語数が不足している 67%
クレジット/デビットカードの利用 10.7% 32%(440人中) カードが使えなかった 46%
訪日客と飲食店のGoogleマップ: 会話・多言語表示・カードの 3 項目で、困った人のうち飲食店で困った割合を母数つきで並べた図(出典: 観光庁)
困った人のうち飲食店で困った割合

来店前にGoogleマップで伝えられること

GBPのヘルプによると、ビジネス属性はGoogle検索やGoogleマップなどのビジネス プロフィールに表示されます。メニュー エディタで載せたメニューは、ビジネス プロフィールの [メニュー] の下に一覧で表示されます。調査の困りごとのうち、属性とメニューで来店前に伝えられる部分を、項目ごとに見ます。

カードは「使えるか分からない」を属性で伝える

カードで困った内容のうち、「カード使用可能かわからなかった」は23%でした。GBPのヘルプ「ビジネスの属性を管理する」は、変更する属性のカテゴリの例に「お支払い」を、属性の例に「現金のみ」を挙げています。支払いの手段は、来店前に属性で示せる情報です。

一方で、最も多い「カードが使えなかった」46%と「カードが対応してなかった」23%は、店頭で使える決済手段そのものに関わる回答です。

多言語表示はメニューを文字で載せる

多言語表示で困った人の対応は、ICTツールで解読したという回答が57%でした。GBPのヘルプ「メニュー エディタについて」によると、ビジネス プロフィールには説明文と価格を含めてメニュー アイテムを追加できます。この機能は、飲食ビジネスで使えます。

このヘルプの範囲には、メニューを外国語で表示する設定や、メニューを翻訳する機能は書かれていません。

スタッフとの会話は何に困ったかが調べられていない

スタッフとの会話で困った人のうち、68%はICTツールで対応し、3割程度は会話を諦めています。ただし、この調査は困った場所と対応を聞いていて、何を伝えようとして困ったかは設問にありません。会話のどの部分が事前の情報で減らせるかは、この調査からは決められません。

困りごと 調査で多かった困った内容・対応 GBPで来店前に載せられる情報
クレジット/デビットカードの利用 カード使用可能かわからなかった 23% 「お支払い」の属性
多言語表示の少なさ・わかりにくさ 対応はICTツールで解読が57% 説明文と価格を含めたメニュー アイテム
スタッフとのコミュニケーション 対応はICTツールの利用が68% 調査は会話の中身を聞いていない

GBPの属性とメニューを設定する手順

支払い方法の属性を実態に合わせる

GBPのヘルプが示す属性の編集手順は、次のとおりです。

  1. ビジネス プロフィールに移動する
  2. [プロフィールを編集] の [その他] を選ぶ
  3. 変更する属性のカテゴリ(例: 「お支払い」)の横にある編集アイコンを選ぶ
  4. 変更する属性の横にある [はい] か [いいえ] を選ぶ
  5. [保存] を選ぶ

ヘルプは「編集内容の審査にかかる時間は通常 10 分ほどですが、場合によっては最大で 30 日かかります。」と書いています。一部の属性は、特定の地域、国、業種に限って変更できます。また、来店した顧客からの情報に基づいて自動的に入力される属性もあります。自分で設定していない属性が、プロフィールに出ている場合があるということです。

DigitalGOAT編集部が推奨するGBP属性のチェック項目は、支払い方法、バリアフリー、Wi-Fi・駐車場・個室、テイクアウト・デリバリー、ペット同伴可否の5つです。「はい」を選べる条件は属性ごとに決まっており(車椅子対応の入り口なら幅など)、ヘルプの「属性の種類の詳細について」にあります。属性ごとの条件は、本記事の対象外です。属性が表示されないときの原因の切り分けは、Googleビジネスプロフィールの属性の解説で扱っています。

メニューを文字で載せる

メニュー エディタでメニュー アイテムを足す手順は、次のとおりです。

  1. ビジネス プロフィールに移動する
  2. [メニューを編集] を選ぶ
  3. [メニュー アイテムを追加] を選び、アイテムの情報を入力して [保存] を選ぶ

変更内容がGoogleマップやGoogle検索の表示に反映されるまでには、24〜48時間程度かかることがあります。Business Profile APIで作成されたメニューがある場合は、この機能を使えないことがあります。複数のビジネス プロフィールのメニューを更新する場合は、Business Profile APIを使う必要があります。メニューリンク(メニューのあるページへのURL)の設定と、複数のメニューソースから表示するメニューを選ぶ手順は、本記事の対象外です。

メニューの写真やPDFから、AIでメニューを作る機能もあります。作られるメニューには、セクション名、アイテムや料理の名前、説明、価格などが載ります。ただし、この機能は試験運用版で、使うにはGoogle 生成 AI の追加利用規約への同意が必要です。生成したあとは、メニューに間違いがないことを確かめてから公開します。メニューの載せ方の詳細は、GBPにメニューを追加する手順で扱っています。

設定したあとに確かめる項目

ヘルプの記述から、設定したあとに見直す項目を挙げます。

  • 「お支払い」の属性が、店頭で実際に使える支払い方法と合っているか
  • 来店した顧客からの情報で自動的に入力された属性が、実態と合っているか
  • 顧客がアップロードしたメニュー写真が古くなっていないか(古い・正しくない写真は削除をリクエストし、正しい写真を載せ直す)
  • ウェブサイトから自動で文字起こしされたメニューデータに誤りがないか(誤りはメニュー エディタで編集・削除できる)
訪日客と飲食店のGoogleマップ: カードが使えるかを聞かれた GOAT君 が、GBPのお支払いの属性を設定して来店前に伝える 4 コマ(出典: 観光庁・Google)
カードが使えるかは来店前に伝える

GBPを整えれば訪日客が増えるとは言えない

観光庁の調査は、旅行中に困ったこととその場所・内容・対応を聞いたものです。店をどう選んだかは設問にありません。GBPを整えることで訪日客の来店が増えるかどうかは、この調査からは読めません。

GBPのヘルプも、特定の属性を追加すると、その属性を有する場所が検索された際に検索結果に表示される「可能性があります」と書くにとどめています。属性を足せば表示が増える、と約束しているわけではありません。