Googleレビューを一生懸命集めても、AIには届いていない

多くの店舗オーナーが「まずGoogleレビューを増やそう」と考えます。実際、Googleビジネスプロフィール(GBP)のレビュー収集は集客の基本動作として定着しています。ただ、ChatGPTやGeminiのようなAIが顧客の質問に答えるとき、そのレビューが本当に参照されているかというと、話は別のようです。

海外のある事業者が、Google Business Profile APIを使って自社の顧客レビューを収集し、静的HTMLの証言ページを自社サイト上に作成した事例が報告されています。この施策の前後でAIの挙動がどう変わったかを見ると、Googleレビューの「集めっぱなし」が抱える弱点が見えてきます。

証言ページを作る前、AIは何を見ていたか

この事業者によると、静的HTMLの証言ページを作る以前、ChatGPTはGoogle Business Profile上の全レビューにアクセスできていなかったといいます。その代わりに、ディレクトリサイトやサードパーティのレビューサイトを主に参照していたそうです。Geminiについても、グーグルマップから情報を取得しているようだったものの、そこで拾えていたのは同じ4〜5件のレビューだけだったと報告されています。

つまり、Googleビジネスプロフィールに何十件レビューを積み上げても、AIの回答を生成する側からは「ごく一部しか見えていない」状態が起きていたことになります。これは特定の一事業者の観測であり、すべてのAI・すべての業種で同じ挙動になるとは限りません。ただ、GBPのレビューがAI経由の集客においてどこまで機能しているかを疑う材料としては軽視できません。

証言ページを作った後、AIの回答が変わった

この事業者は、Google Business Profile APIで取得したレビューを使い、静的HTMLの証言ページを自社サイトに設置しました。その後、異なる施術や関連キーワードについて顧客体験を尋ねると、ChatGPTとGeminiがこの証言ページを見つけて、より良い文脈で回答するようになったと報告されています。

ここで起きていることを整理すると、AIにとって「事業者に紐づけて引用しやすい情報」と「引用しにくい情報」があるということです。Google側のレビューエコシステム内にあるレビューは、事業者と結びつけてAIが引用するのが、自社サイト上のレビューよりも難しいという指摘は、この事例の文脈と整合します。GBPのレビューはGoogleの管理下にある情報であり、事業者が完全にコントロールできる場所ではありません。一方、自社サイトはレビューや事例紹介、FAQ、価格情報、専門性に関する情報を事業者が完全に所有・管理できる唯一の場所です。AIがどこを参照しやすいかという観点では、この違いは無視できません。

日本の店舗運用で何をすべきか

日本の店舗の多くも、この事業者と同じ状態にあるのではないかと考えられます。多くの事業者はGoogleレビューの収集だけを行い、それ以外の場所にレビューを掲載していません。つまりレビューはGoogle側にしか存在せず、自社サイトには何もない、という構造です。この事例が示す通り、その状態ではAIが参照できる顧客の声が極端に少なくなる可能性があります。

明日からできる対応は、次の3点に整理できます。

  1. レビューの転載許諾を取る:新規レビューが投稿されたら、投稿者に自社サイトへの掲載可否を確認します。施術やサービスの前後で口頭やLINEで一言添えるだけでも、許諾の記録として使えます。
  2. 静的なテキストページとして掲載する:レビューをスクリーンショット画像で載せるだけでは、AIがテキストとして読み取れません。氏名(またはイニシャル)、レビュー本文、日付、可能であれば施術・サービス名をテキストで並べたページを、サイト内の固定URLに置きます。
  3. サービス・キーワード別に構造化する:レビューを羅列するだけでなく、「どの施術・商品に対する声か」がわかる見出しやタグを添えます。この事例でも、異なる施術や関連キーワードについて尋ねられた際にAIが証言ページを見つけて回答している点から、レビューがキーワードと紐づいている状態がAIの参照につながっていると読めます。

まとめ

Googleレビューを集めることは今も基本ですが、それだけではAIに届かない可能性があります。この事例が示すのは、レビューを自社サイト上にテキストとして持ち、サービスやキーワードと結びつけて構造化することの重要性です。まずは直近のGoogleレビューのうち、自社サイトに転載できそうなものが何件あるか、許諾込みで洗い出してみることから始めてみてください。