「Googleからの流入が減った気がする」——この感覚は、いま海外の大手メディアが直面している現実とそう遠くありません。AI Overviews(AI概要。検索結果の最上部にAIが要約を表示する機能)の拡大とともに、パブリッシャーへの送客が目に見えて落ち込んでいます。本記事では、海外で報告されている具体的な数字と、その背景にある変化を整理します。
何が起きたか:主要メディアのオーガニック流入が急減
Neowinの報道によれば、2025年6月から2026年6月にかけて、米国ユーザーからのGoogle検索経由オーガニックトラフィックは、USAトゥデイで約半減、ポリティコで23%減少、CNNで25%減少、ビジネスインサイダーでは85%以上減少したと報じられています(Neowinの記事)。このデータの一次の出典はウォール・ストリート・ジャーナルの報道とされていますが、本記事ではNeowinが報じた内容として紹介します。
同時期、Search Engine RoundtableはGoogleのランキング変動に関する記事の中で、Googleが検索結果からパブリッシャーへ送るトラフィックが減少し続けていると伝えています。あるニュースサイトとショップサイトの運営者は、トラフィックが急増する日と閑散とする日が交互に起こり、ランキングが激しく変動していると述べたとも報じられています。これは一運営者の証言であり、業界全体の共通現象と断定できるものではありませんが、大手メディアの数字と合わせて読むと、検索経由の送客が不安定化している傾向がうかがえます。
なぜ重要か:AI Overviewsの表示率がすでに半分近い
この流入減少の背景にあるとみられるのが、AI Overviewsの表示範囲の広がりです。Search Engine Roundtableが伝えたSimilarwebのデータによると、AI OverviewsはGoogle検索の全クエリの約43%で表示されています。一方、Semrushのデータでは約48%とされており、調査元によって数値は異なるものの、いずれもクエリのほぼ半分に達している点は共通しています。
さらに同記事では、Similarwebのデータとして、AI Mode(Google検索内の対話型AI検索モード)の利用(訪問数)がAI Overviewsの表示率よりも速いペースで増加していると報告されています。AI概要を「見る」だけでなく、AIとの対話で検索を完結させる利用形態そのものが伸びているということです。ユーザーが検索結果ページの要約や対話回答で疑問を解決し、リンク先のサイトに移動しない機会が増えれば、パブリッシャー側の送客数が細っていく方向性と、Neowinやサーラウンドテーブルが報じた流入減少の傾向は、少なくとも矛盾しない関係にあります。
日本で何をすべきか:現時点で言えることと言えないこと
ここまでの素材はいずれも米国ユーザー・米国メディアを対象にした報告であり、日本語検索・日本のサイトに同じ規模の影響が出ているかどうかを示す数字は、今回の素材には含まれていません。したがって「日本でも同様の流入減少が起きている」と断定することはできません。
一方で、AI OverviewsやAI Modeの表示・利用が拡大しているという構造自体は、日本語検索にも同じ仕組みが導入されている以上、無関係とは言い切れません。今回確認できたのは、米国における流入減少の報告と、AI Overviews・AI Modeの表示・利用拡大を示すデータまでです。自社サイトのGoogle検索パフォーマンス(Search Console等)の推移を継続的に確認し、変化の兆候を早期に把握しておくことが、現時点で取れる現実的な対応と言えます。
まとめ
海外では、AI Overviewsの拡大とともに主要メディアのGoogle経由オーガニック流入が大きく減少したという報告が相次いでいます。AI Overviewsの表示率はすでに全クエリの4割台後半に達し、AI Modeの利用はそれ以上のペースで伸びているとされています。日本語検索への影響度合いを示す素材は今回ありませんが、検索結果からの送客構造が変わりつつあるという前提で、自社の検索経由流入の推移を注視しておく価値はあります。